


腰痛患者様の動きを評価するときは、身体をどこまで動かせるかだけでなく、呼吸を止めていないか、肩や腕に必要以上の力が入っていないかにも注目します。
動作範囲に大きな変化がなくても、呼吸や力みが変わることで、患者様の動作に対する不安や緊張を把握できる場合があります。
腰に痛みがある患者様は、「動いたらまた痛くなるかもしれない」という不安を感じていることがあります。
そのような状態で身体を動かそうとすると、無意識に息を止め、肩や腕、脚などに力を入れて身体を固める場合があります。
身体を守ろうとする反応の一つですが、力みが強い状態では、本来確認したい腰や股関節の動きが分かりにくくなることがあります。また、患者様自身は息を止めていることや、肩に力が入っていることに気づいていない場合もあります。
治療前後の評価では、前屈できる距離や身体を動かせる角度など、目に見える変化に注目しがちです。
しかし、動作範囲が同じでも、動き方が変化していることがあります。
例えば、治療前は息を止めながら素早く動いていた患者様が、治療後には呼吸を続けながらゆっくり動けるようになる場合があります。肩や腕の力が減る、表情が和らぐ、動き始めのためらいが少なくなるといった変化もあります。
こうした反応は数値に表しにくいものですが、次の治療内容を考えるための重要な情報になります。
患者様に力みが見られると、「力を抜いてください」と声をかけることがあります。
しかし、患者様にとっては、どの部分の力をどのように抜けばよいのか分からない場合があります。声かけは、短く具体的にすることが大切です。
「息をゆっくり吐きながら動きましょう」「肩を上げずに行いましょう」「急がずに身体を傾けましょう」など、一度に一つのポイントを伝えます。複数の指示を同時に出すと、患者様がかえって緊張することがあります。患者様の反応を見ながら、必要な声かけだけを行います。
呼吸を観察することは大切ですが、正しい呼吸方法を行うこと自体が治療の目的にならないよう注意が必要です。
患者様が呼吸を意識しすぎると、かえって動きが不自然になったり、不安が強くなったりする場合があります。あくまでも、患者様が無理なく身体を動かせているかを確認するための一つの視点として活用します。
自然に呼吸を続けられている場合は、必要以上に修正する必要はありません。
PROTECは身体を支持し、腰部にかかる上半身の重さを軽減した環境で運動を行う腰痛治療器です。
通常の立位では痛みへの不安が強く、身体を固めてしまう患者様でも、支持のある状態では異なる反応を示す場合があります。
PROTECの使用中には、動作範囲だけでなく、次のような点も確認します。
* 呼吸を止めずに動けているか
* 肩や腕に過度な力が入っていないか
* 身体を急に動かしていないか
* 痛みが出そうな方向で表情が変わらないか
* 声かけによって動き方が変化するか
* 動作に対する不安が軽減しているか
患者様に合った支持状態や動く範囲を探しながら、無理のない運動を行います。
治療者が呼吸や力みの変化に気づいても、患者様自身が理解していなければ、日常生活に生かすことは難しくなります。
「先ほどより息を止めずに動けています」「肩の力が少し抜けています」など、変化を具体的に伝えます。患者様が自分の動き方に気づくと、椅子から立ち上がるとき、靴下を履くとき、荷物を持つときなど、日常生活でも力みを確認しやすくなります。
ただし、「力みが腰痛の原因です」と決めつけるような説明は避けます。呼吸や力みは、患者様の状態を理解するための情報の一つです。
動作範囲だけでなく、「前屈時に息を止める」「右方向では肩に力が入る」「声かけ後はゆっくり動けた」など、呼吸や力みについても簡潔に記録します。
次回来院時に同じ動作を確認すれば、患者様の不安や動き方の変化を比較できます。腰痛治療では、痛みの強さだけでは捉えきれない変化があります。呼吸、表情、力み、動作速度などを含めて観察することで、患者様の状態をより具体的に把握しやすくなります。
株式会社メディカでは、世界37か国で使用されている腰痛治療器PROTECの導入・活用相談を承っています。機器の操作方法だけでなく、患者様の動きを安全に観察する治療環境づくりについてもお問い合わせください。