

― どちらかではなく「順番」と「役割」が重要 ―

体幹機能の改善を目的とする際、EMSと運動療法のどちらを使うべきか迷うことがあります。しかし本来、この二つは対立するものではなく、役割の異なるアプローチです。
重要なのは、どちらを使うかではなく、どのタイミングで、どの目的で組み合わせるかという視点です。
体幹EMSの主な役割は、筋力を直接高めることではありません。使われにくくなった体幹筋に刺激を入れ、身体が本来持っている支える機能を引き出すことにあります。
慢性痛や長期の不調がある場合、体幹筋は無意識のうちに働きが弱くなっていることが多く、この状態で運動療法を行っても、狙った筋肉がうまく使われません。体幹EMSは、運動を成立させるための下地を整える役割を担います。
運動療法は、体幹を含めた筋肉を実際の動作の中で使えるようにするための手段です。正しい姿勢や動作を繰り返すことで、筋肉の協調性や持久性が向上していきます。
ただし、体幹が十分に働いていない状態では、代償動作が起こりやすく、効果が出にくい、あるいは不調を繰り返す原因になることもあります。
体幹EMSと運動療法を組み合わせる際の基本的な考え方は、先に体幹EMSで筋活動を引き出し、その後に運動療法を行うという流れです。
EMSによって体幹が働きやすい状態を作った上で運動を行うと、正しい筋肉が使われやすくなり、運動の質が向上します。
これは、体幹が不安定な状態で運動を行うのと、支えが整った状態で運動を行うのとの差とも言えます。
運動療法を行っても効果が出にくい場合、運動の内容や強度ではなく、体幹の準備不足が原因になっていることがあります。
このようなケースでは、一度立ち止まり、体幹EMSを用いて筋活動を整える期間を設けることで、その後の運動療法がスムーズに進むことがあります。
体幹EMSは便利な手法ですが、運動療法を不要にするものではありません。EMSはあくまで補助的な役割であり、最終的には動作の中で体幹を使えるようにしていく必要があります。
体幹EMSと運動療法を並列で考えるのではなく、段階的に役割を移行していくことが重要です。
体幹EMSと運動療法の組み合わせでは、いつまでもEMSに頼り続けないことも大切です。
姿勢が安定してきた、簡単な動作でふらつきが減ったなど、体幹の働きが日常動作に反映され始めた段階が、運動療法の比重を高める目安になります。
この移行がうまくいくと、体幹EMSは徐々に補助的な位置づけとなり、運動療法が主役になっていきます。
メディカでは、体幹EMSを単独で完結させるものではなく、運動療法や日常動作につなげるための準備段階として捉えています。
そのため、低出力でも安定した通電が得られ、運動前に使用しても違和感の出にくいパッド設計を重視しています。
体幹EMSと運動療法を組み合わせる際に重要なのは、刺激の強さではなく、次の動作につながる状態を作れているかどうかです。
体幹EMSを正しく位置づけることで、運動療法の効果をより引き出すことが可能になります。