腰痛治療で「左右差」を観察する意味とは

腰痛治療で「左右差」を観察する意味とは

腰痛治療で「左右差」を観察する意味とは


腰痛の評価では、痛みの強さや身体を動かせる範囲だけでなく、左右で動き方に違いがあるかを観察することも大切です。


ただし、左右差があること自体を直ちに問題と考える必要はありません。患者様の生活習慣や利き手、仕事内容なども踏まえ、その左右差が痛みや動作上の困りごとと関係しているかを確認します。


人の身体は完全な左右対称ではない


日常生活では、左右の身体をまったく同じように使っているわけではありません。


利き手で荷物を持つ、いつも同じ脚を組む、片側に体重をかけて立つ、仕事中に同じ方向へ身体をひねるなど、長年の習慣によって身体の使い方には左右差が生まれます。


過去のけがや手術、スポーツ経験、仕事内容などが影響することもあります。そのため、左右の動きに違いがあるという理由だけで、どちらかが悪いと判断することはできません。


大切なのは、左右差の有無だけでなく、その差が患者様の症状や生活上の問題とどのように関係しているかを見ることです。


痛みを避ける動作が左右差として表れる


腰痛がある患者様は、痛みを避けるために無意識のうちに身体の使い方を変えていることがあります。


例えば、痛む側へ体重をかけないよう反対側へ身体を傾ける、片側の脚だけで立ち上がろうとする、腰を動かさず肩や膝を使って方向を変えるといった動作です。


こうした動きは、患者様が身体を守るために行っている場合があります。無理に左右をそろえようとするのではなく、どの動きで痛みや不安が出るのかを確認することが重要です。


「右側へ動くと痛い」「左脚に体重をかけるのが怖い」など、患者様自身が感じている左右差も聞き取ります。


同じ動作を左右で比べる


左右差を観察するときは、安全に行える同じ動作を左右で比較します。


例えば、身体を左右へ傾ける、左右それぞれの方向へ振り向く、片側ずつ体重を移すといった動作があります。


観察するポイントは、動く範囲だけではありません。


* 動き始めに迷いやためらいがあるか
* 左右で動作速度が違わないか
* 呼吸を止めていないか
* 肩や腕に必要以上の力が入っていないか
* 腰以外の部分で動きを補っていないか
* 患者様が恐怖や不安を感じていないか


こうした点を確認すると、単純な可動範囲の数値だけでは分からない特徴が見えてきます。


PROTECで上半身の重さを軽減して確認する


通常の立位では痛みや恐怖感が強く、身体を十分に動かせない患者様もいます。


PROTECは、身体を支持することで腰部にかかる上半身の重さを軽減し、その状態で患者様に合わせた運動を行う腰痛治療器です。


上半身の重さを軽減した環境で左右の動きを確認することで、通常の立位とは異なる反応が見られる場合があります。


例えば、立位では左方向へほとんど動けなかったものの、支持のある状態では動ける場合があります。反対に、重さを軽減しても同じ方向への不安が残ることもあります。


こうした反応は、その後の治療や運動内容を考えるための一つの情報になります。ただし、PROTEC上での反応だけで原因を決めつけず、問診や他の評価と組み合わせて判断することが必要です。


左右を完全に同じにすることが目的ではない


左右差を確認すると、「左右を同じ状態にしなければならない」と考えがちです。しかし、身体の左右差は生活習慣や身体的な特徴によっても生じるため、完全な対称性が必ずしも治療目標になるとは限りません。


患者様が必要としているのは、左右の数値をそろえることではなく、仕事や家事、歩行、立ち上がりなど、生活上必要な動作を安心して行えるようになることです。


左右差が残っていても、困っていた動作が行いやすくなり、痛みへの不安が減っているのであれば、その変化も評価する必要があります。


患者様にも変化を具体的に伝える


治療者が左右差の変化に気づいても、患者様自身は分からないことがあります。


「先ほどより左へ体重を移しやすくなっています」「右へ動くときの肩の力が減っています」など、観察した内容を具体的に伝えることで、患者様も自分の変化を理解しやすくなります。


一方で、「身体がゆがんでいる」「片側がおかしい」など、不安を必要以上に強める表現は避けた方がよいでしょう。


左右差は、患者様の身体を評価するための情報の一つです。良い・悪いと単純に分類せず、痛み、動作、生活上の困りごとと合わせて丁寧に確認することが大切です。


まとめ


株式会社メディカでは、世界37か国で使用されている腰痛治療器PROTECの導入・活用相談を承っています。患者様の動作を観察し、治療方針へつなげるための環境づくりについてもお気軽にお問い合わせください。